
バウムテストとは、木の絵を描く心理テストで絵画療法の一種です。
樹木画テストとも言われており、スイスの心理学者、カールコッホが1945年に創始してます。対象年齢は問わず、幼児から大人まで幅広く使われています。
自由画(心の形を自由に描くもの)よりもテーマが決まっているため、描きやすい(取り組みやすい)のが特徴です。
この記事ではバウムテストのやり方と注意点を解説します。
バウムテストのやり方
やり方はシンプルで、A4用紙とクレヨンまたは鉛筆を準備し、木の絵を描いてもらうだけです。
「1本の実のなる木を描いて下さい」と本数などを指定するやり方もありますが、本数の指定無し、実の有無も指定無しで描いてもらう方が自由度が高まって良いです。私自身社会人向けの心理セミナーでバウムテストを行うときは
とお伝えして描いてもらっています。
用紙のサイズについて
用紙サイズはA4が適切です。特に決められているわけではありませんが、大きすぎず、小さすぎないサイズですので、描きやすいのが理由です。
横向きで使用される方が多いですが、縦でも斜めでもかまいません。
お勧めなのは、裏表完全白紙の用紙に描くことです。これが最も自由に描きやすいです。
表や裏に注意書きや、やり方が書いてある場合、どうしてもその文字を意識して、絵の自由さが失われます。逆にいえば病院などで描かされる場合、ここが満たされていないと、その施設での絵の解析密度は低いといえます。
ただし日付の把握は重要ですので、描き終わった後に裏面に日付を入れるのが良いです。日付を入れる理由は、続けて描いた場合、絵の変化は心の変化そのもののためです。
描く手段|クレヨンまたは鉛筆
何で描くかについて、決まったものはありませんが、鉛筆かクレヨンで実施しているところが多いです。
※クレヨンの場合は16色が適切です。色の種類が多すぎても逆にやりにくいです。
「心の深い部分を見る」観点でいうと、クレヨンを強く推奨します。私自身心理セミナーやカウンセリングでやってもらう場合、クレヨンを使っています。理由は
- 色が選択でき、表現が深まる
- 筆圧がわかりやすい
- 修正が効かない
点です。いずれも絵の分析に関係しています。上記の理由詳細については、絵画療法のやり方と解釈方法をご参照下さい。
描く場所について

絵画療法の講座風景
バウムテストを描く場所は、できるだけ落ち着ける環境が良いです。というのも、描く時の安心感が強ければ強いほど、素の部分が自然と絵に現れるためです。
落ち着ける部屋で、カウンセラーに見守ってもらいながら描くのがベストですが、部屋で1人で描いてもOKです。
最も絵に素が現れにくいのが、他の人が多くいる病院の待合室で描かされる場合です。バウムテストを心理療法と捉えていないとこういった場で描かされるため、このような機関は避けた方が無難です。
バウムテスト 何分?
特に時間指定はありません。
10分前後で描かれる方が比較的多いですが、「何分くらいで描いて下さい」といった時間指定は伝えない方が良いです。(心理カウンセリング・バウムテストで大切な自由さが損なわれるため)
何分くらいで描けばよいか聞かれた場合のみ、目安(10~15分程度)を伝えればよいです。
グループでバウムテストを実施すると、どうしても人によってバラつきが出るため、「そろそろ仕上げてみて下さい」と声掛けすることもあります。
描いてもらっている時
描く時は無音よりも、オルゴール調のゆったりとした音楽をかけると描きやすいです。
カウンセラーは間近で見るのではなく、少し離れて描画者が「なんとなく気にしてくれている」と感じられるような関わり方がベターです。アイコンタクトを送られたらすぐに気付ける感じです。
注意点3つ
1 絵の上手い下手は関係無いことを伝える
描いてもらう時の説明として、
と伝える必要があります。自由画でもそうですが、絵を描いて下さいと伝えると、否定的な反応(描くのを嫌がる)を示される方がいます。小学校時代は絵の上手い下手で評価されていたので無理もありません。上手い下手を評価されると思うと自由に描けないため、上記のように伝えます。
2 時間は区切らない
基本的に5~20分程度で描き終わることがほとんどですが、どなたかに描いてもらう時は、「~分程度で描いて下さい」等とは伝えない方が良いです。
時間が気になって自由に描きにくくなるためで、本来もっと描きたい部分はあったけれど、時間を気にして止めるケースもでてきます。
もちろん様子を見て、なかなか描けないようであれば、無理に描かせないのが大切です。
3 バウムテストの木が描けない時の対応法
描けない場合は、木でなくても、線だけでも何かの模様だけでも良いのですが、無理に描いてもらう必要はありません。
無理に描かせても信頼関係が崩れるだけですので、描けない場合は箱庭療法やコラージュ療法をやっても良いですし、エゴグラムなどのやりやすい心理テストでも、会話だけでもOKです。基本的に絵を描くよりも上手い下手が現れにくい箱庭やコラージュの方が取り組みやすいです。
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ただし、関わるカウンセラーの態度が受容的(何でも受け止める態度)かどうか、上手い下手は関係無く、良い悪いは無いことを伝えているかどうか振り返ってみて下さい。審査されると思うと描きにくいです。
PCやスマホで描いてもよい?
PCやスマホで描いても分析できなくはないですが、手描き推奨です。
理由はPCやスマホでの描画は、色や筆圧がどうしても単調になるためです。例えば↓はPCで描かれたバウムテストですが、筆圧はすべて一定で色は2色です。

クレヨンであれば、あえて2色のみで描いたと判断できるのですが、上記の場合はあえて2色のみを使ったと判断しにくいです。
特に普段コンピューターを使った描画に慣れていない方は、遊び感覚で気軽にここに何かを描こう、追加しようともなりにくいため、無意識が現れにくいです。そのため手描きをお勧めします。
木の絵を描く理由
木の絵を描く理由はシンプルで、人は木に対して投影しやすいためです。地面に対して直立して立っている生物・植物は、人と木以外にほとんど無いです。
参考文献:ドゥニーズ ドゥ・カスティーラ/著、バウムテスト活用マニュアル、金剛出版、2002
投影とは、自分自身の何か(精神面、肉体面など)をあるものに映し出すことで、なんとなく描いた木にも自分自身の何かが反映されています。それを感じ取ったり読み取っていきます。
カウンセリングでは、思いや感情を言葉にするのが得意でない方に使われるケースが多いですが、特に精神疾患がない健常者の方が実施しても、心の深い部分が自然に現れ、自己理解を深めるきっかけになることがあります。
関連:バウムテストの解釈・結果の見方
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