
著者が自分で描いたアートセラピーの数々
アートセラピーを自分で行うことは可能です。上記のアートセラピーは、私が心理カウンセラーの研修時にすべて1人で描いたものです。絵の変化は心の変化そのものです。
ただし初めての方で、過去の心の傷を癒やすために行うのであれば、カウンセラーと共に行った方が良いです。
- アートを通して心の深い部分(無意識で感じていること)を知るため
- アートを通して自己肯定感を高めるため
- シンプルに興味があってやってみたい
上記の目的であれば、1人で行っても問題ありません。前提として、アートセラピーは心の自己表現のため、心理カウンセラーに見守ってもらいながら行うのと、自分ひとりで行うのとでは、どうしても表現と効果に差は出ます。
もちろん1人行っても、アートから無意識で感じていることが読み取れたり、描くだけで一定のカタルシス効果(感情の浄化作用)は得られます。
この記事では、アートセラピーを自分でやる方法を解説します。
動画での解説はこちら
自分1人でやる時のお勧めはコラージュ療法
アートセラピーの種類としてメジャーなのは絵を描く絵画療法ですが、1人で行う時のお勧めはコラージュ療法です。

コラージュ療法の例
やり方はシンプルで、A3用紙(A4を2枚貼り付けてOK)に気になった雑誌の切り抜きを、好きなように貼り付けるだけです。コラージュ療法のメリットは、既存の雑誌の切り抜きを使うため、絵画療法よりも満足度が高いものを作れ、その結果として自己肯定感が高まりやすい点です。
デメリットは、カラーの雑誌(好きな雑誌でOK)を3~5冊程度用意する必要がある点です。
絵を描くアートセラピー(絵画療法)にも様々な種類がありますので、自分1人でやりやすいものを2つ紹介します。
絵画療法を自分で行う方法
いずれも準備物は共通です。
準備物
- A4用紙
- クレヨン16色
- リラックスできる音楽(声無し)
用紙については何かの裏紙でも可能ですが、できるだけ裏表白紙のA4が良いです。理由はその方が自分の心を大切に扱うことにつながるためです。
表面に凸凹が無い用紙が適切で、私自身はカウンセリング時は↓の用紙を使っています。
個人だと量が多いため、コンビニのコピー機で何も無い状態でコピーをすれば、1枚10円で手に入れることができます。
描くものは鉛筆や色鉛筆でも可能ですが、クレヨンが適切です。クレヨンだと筆圧や色から分析の幅が拡がります。色の種類は多すぎても選ぶのに労力がかかり、使うものはある程度限られるため(私自身の経験です)、16色がベストです。
音楽は、↓のようなオルゴール調の歌詞の無いものが適切です。
実施時の共通の注意点
アートセラピーすべてに共通する注意点が2つあります。
上手い下手は関係無し
1つ目は、アートの上手い下手は関係ありません。上手く出来るにこしたことは無いのですが、自己表現として思うままに自由にやるのが大切です。感じたままに自由に表現することで、無意識の素の部分が浮き上がりやすくなります。
場を整える
場を整えるとは、掃除された部屋で行う、アートを描く時のテーブルの上には出来るだけ余計なものを置かない、きれいな白紙を使う、落ち着くバックミュージックをかける等です。
場を整える意味は、そのほうが落ち着いて自分の心に向き合えるという事もありますが、アートセラピーを通して自分を大切にすることにもつながるためです。場の整理はやらなくてもアートは描けますが、行ったほうが効果は高いです。私自身がカウンセリングを行う時は、とても大切にしています。
絵画療法の具体的なやり方を2つ紹介します。
バウムテスト
バウムテストは木の絵を描く心理テストです。テーマが決まっているため、描きやすいのが特徴です。
特に心の深い部分で感じていること・思っていることを知りたい方にお勧めです。やり方はシンプルで木を自由に描くだけですが、詳しい方法と注意点、解釈方法については↓をご参照下さい。
詳細を見る 詳細を見る
バウムテストのやり方、注意点3つ|描けない時の対応法
バウムテストの解釈・結果の見方を事例を交えて解説
続いて2つ目の種類を紹介します。
自由画
自由画は文字通り心の形を自由に描くタイプです。模様だけでも色だけでも何でもOKです。
特にモヤモヤ感が強い、フラストレーションが溜まっている方向けです。落ち着かない時やイライラしている時は、用紙を黒や赤などで塗りつぶすだけで少し心がスッキリします。
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絵画療法のやり方と解釈方法|大人の絵の心理分析事例を交えて解説
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↓は私が自分で描いたアートセラピーの例です。 詳細を見る
動けない変われない自分をクリアにする方法|84枚のアートセラピー
自分ひとりでやらない方が良いケース
次の場合は心理カウンセラーの元で行うべきです。
- 過去のトラウマ・心の傷を見つめる目的で行う場合
- 現在落ち込みやストレスが強く、その根本要因が幼少期にあると感じられる
- 嫌いなものやストレスをテーマとして描く場合
怒りやイライラなどのマイナスの感情を発散させるだけであれば1人でも問題ありませんが、上記の場合は1人で行うと、アートセラピーで開いた心が不安定になる、1人では適切にケアできない可能性があるためです。
アート自己分析の難易度は高め
アートセラピーには一定の心理学的な分析の観点があるため、ある程度は自己分析が可能ですが、無意識の深い部分になるとプロでも自己分析は難しいです。
これは鏡が無いと自分の姿が見えないのと同様、自分の心は客観的に見つめにくいためだと思います。
分析にはユング心理学が主に使われます。アートセラピーをしっかり学びたい、分析方法を身に付けたい方は、実践心理アートセラピー資格通信講座をご活用下さい。